ロコモティブシンドローム

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ロコモティブシンドローム|横浜市都筑区の整形外科 - 医療法人社団 颯和会【笠井整形外科】

「健康的な高齢社会を目指すキーワード」

ロコモティブシンドロームの概念

日本の65歳以上の高齢者が占める割合は2019年度調べで28.4%となり、世界でも有数の超高齢社会となっています。
2019年の日本人の平均寿命は女性が87・45歳、男性が81・41歳で、いずれも過去最高を更新しました。今後も平均寿命は延びていくものと予想されています。

平均寿命の推移と将来推計

資料:昭和25(1950)年は厚生労働省「簡易生命表」、昭和35(1960)年から平成27(2015)年までは厚生労働省「完全生命表」、平成28(2016)年は厚生労働省「簡易生命表」、2020年以降は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」出生中位・死亡中位家庭に夜推計結果
注:昭和45(1970)年以前が沖縄県を除く値である。0歳の平均寿命が「平均寿命」である。

一方、介護など他人に頼らず自立した生活を送ることのできる健康寿命は、2019年試算では女性が75.38年、男性が72.68年であり、介護を必要とする期間は女性12.1年間、男性8.7年間となっています。

平均寿命と健康寿命の推移

平均寿命と健康寿命の推移

要支援、要介護となった原因は、転倒・骨折・関節疾患などの運動器障害が、認知症、脳血管疾患を抜いて全体の25%を占めています。

支援・介護が必要となった主な原因

2007年「運動器障害によって移動機能の低下した状態で、進行すると介護が必要になるリスクが高まるもの」をロコモティブシンドロームと命名しました。現在では、より健康的な超高齢社会を目指すキーワードとなっています。

ロコモのメカニズム

  • 体を動かしたり制御する役割の筋・神経系
  • 曲がる部分の関節軟骨・椎間板
  • 支柱となる骨

のいずれかが障害されると、痛みや機能低下が出現し、歩行障害が出現し、徐々に生活活動が制限され、進行すると要介護になります。

ロコモの概念

ロコチェック

ロコモティブシンドロームのセルフチェックとしてロコチェックがあります。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたりすべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

7つの項目は全て、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインです。
1つでも当てはまればロコモの心配があります。

日本整形外科学会が運営するロコモONLINEで、皆さんぜひチェックしてみてください。

ロコモ度テスト

ロコモ診断には3つの判定法があります。

①立ち上がりテスト

高さ10cm、20cm、30cm、40cmの台を用意して、手を使わず、片脚あるいは両脚で立ち上がるテストです。

片足の場合立ち上がりテスト(片脚)

両脚の場合立ち上がりテスト(両脚)

②2ステップテスト

両脚を揃えた状態から、大股で2歩進んだ歩幅を測ります。2歩幅÷身長を2ステップ値とします。

2ステップ値の算出方法

2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値

2ステップテスト

ロコモ25

痛みや日常生活に関する25問の質問表です。
0点が完全な健康状態になります。

ロコモ25

これらの判定法より、

移動機能の低下が始まった状態をロコモ度1

(40cm片脚立ち上がり×、2ステップ1.3未満、ロコモ25が7点以上、のどれか1つでも当てはまる)
移動機能の低下が進行し治療を必要とする状態をロコモ度2と定義します。(20cm両脚立ち上がり×、2ステップ1.1未満、ロコモ25が16点以上、のどれか1つでも当てはまる)
全てロコモONLINEで判定できますので、試してみてください。

対処法

まずは将来的に要介護を予防するために、定期的な運動の習慣を続けていきたいものです。

自宅で簡単に行えるロコトレをご紹介します。

①開眼片脚立ち

片脚立ちを左右1分間を1日3セット行います。不安定な場合はテーブルなどで片手で支えても良いです。

バランス能力をつけるロコトレ「片脚立ち」ロコトレ片脚立ち

②スクワット

肩幅より広めに立ち、膝が前に出ないようお尻を沈めていきます。5回1セットを1日3セット行います。不安定な場合は机につかまりながら、椅子を置いた状態でやっても良いです。

下肢筋力をつけるロコトレ「スクワット」ロコトレスクワット

ロコモ度2

移動機能の低下が進行している状態で、なんらかの運動器障害を有します。是非、整形外科を受診し、原因疾患の診断をすると共に、薬物療法・注射・理学療法・手術療法などの適切な治療を受けることをおすすめします。

現在、コロナで運動する習慣が減ったという方は少なくありません。日本整形外科学会では「コロナに勝つ!ロコモに勝つ!」というスローガンを掲げ、自宅や風通しの良い場所でできる運動をして、コロナを予防しながらロコモを防ぐことをおすすめしています。

コロナに勝つ

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