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腰|横浜市都筑区の整形外科 - 医療法人社団 颯和会【笠井整形外科】

腰痛について

腰痛は非常にメジャーな疾患です。
およそ80%の人が生涯に経験します。
日本の有訴率では男性1位、女性2位の疾患です(2022年)

腰痛の原因としては、腰椎椎間板ヘルニアなどは有名です。このように原因が特定できる腰痛を特異的腰痛と言います。一方、原因の分からない腰痛を非特異的腰痛と言いますが、腰痛全体の85%を占めます。特異的腰痛を列挙します。

有訴率2022(男性)

有訴率2022(男性)

有訴率2022(女性)

有訴率2022(女性)

脊椎由来

この表で太字で示した疾患はred flagsと言って、見逃してはいけない重篤な疾患です。
当院では、慎重な問診、触診、レントゲンやMRIなどの画像検索、血液検査などでred flagsを見逃さないように、注意深い診察を心がけています。
次にアンダーラインで示した神経症状を伴う腰痛と、それ以外の非特異的腰痛に分けます。
いわゆる腰痛のトリアージをして、より効率的な治療をしていくわけです。

次から代表的な特異的腰痛を説明します。

腰痛、下肢の痛みや痺れ

代表的な疾患

腰椎椎間板ヘルニア

病態

椎間板の線維輪にできた亀裂から髄核が脱出して、神経根を圧迫して発症します。
20〜40歳台の男性に好発します。

診断

圧迫された神経根の支配領域に放散痛・痺れ・感覚障害・筋力低下が出現します。

横スクロールでご確認いただけます。

発生部位 障害部位 神経刺激テスト 深部腱反射 感覚障害 筋力低下
L3/4 L4神経根 FNST+ 膝蓋腱反射減弱 膝下・下腿前面 膝伸展
L4/5 L5神経根 SLRT+ 母趾 母趾伸展
L5/S S1神経根 SLRT+ アキレス腱反射減弱 小趾・足底 足趾屈曲

*大腿神経伸展テスト(FNST)うつ伏せにして大腿を伸ばすと大腿前面に放散痛が出現
**下肢伸展挙上テスト(SLRT)仰向けで下肢を伸ばしたまま挙上させると臀部〜下肢放散痛

検査

画像検査 検査内容
単純X線 時に椎間板スペースの狭小化が見られます。悪性腫瘍や炎症疾患の除外に有効です。
MRI ヘルニアの確定診断です。放射線被曝の危険性はありません。
神経根造影 透視X線を使用し、原因神経根では放散痛が出現します。神経根ブロックで痛みも取ります。

治療

保存療法

安静 痛みに応じて可能な限り活動しても良いです。
コルセット 腰部の負担を減らして活動しやすくなります。
薬物療法 消炎鎮痛剤・筋弛緩薬・末梢神経障害性疼痛治療薬・ビタミンB12など
ブロック療法 痛みが激しい場合、仙骨硬膜外ブロックや神経根ブロック
理学療法 急性期症状が軽減したら体幹筋力増強訓練や股関節ストレッチ

急速に進行する運動麻痺のある方、保存療法が無効で激しい痛みが続く方、社会的背景で早期治療が必要な方は手術療法の適応となります。

手術療法

後方椎間板切除術 神経根をよけてヘルニアを切除します。小皮切で行う内視鏡手術もあります。
脊椎固定術 椎間不安定性が明らかな場合は固定術も追加します。

下肢の痛みや痺れ、歩けない

代表的な疾患

腰部脊柱管狭窄症

病態

加齢とともに脊柱管が狭窄し、慢性的に下肢痛や痺れが出現します。
50歳以降の中高年に好発します。

診断

歩いていると下肢痛が出現し歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる神経性間欠跛行が典型的な症状です。

*神経性間欠跛行は前屈すると症状が軽減します。血管性間欠跛行は腰椎の動きに反応しません。

症状別分類

馬尾型 両下肢・臀部・会陰部の痺れ
神経根型 神経根領域に沿った下肢・臀部の痛み

**腰部脊柱管狭窄症を疑う患者様が、急激または突発的に神経機能の低下を示した際には、腰椎椎間板ヘルニアの合併、転移性脊椎腫瘍、脊髄腫瘍などの疾患の鑑別を念頭におく必要があります。

検査

画像検査 検査内容
単純X線 悪性腫瘍・炎症疾患の除外や、椎間不安定性を確認します。
MRI 狭窄部位、狭窄の原因を確認します。

治療

馬尾型は神経根型より保存治療に反応しにくいです。

保存療法

安静度 過度の安静による廃用性筋力低下には注意してください。一方、歩き過ぎも神経性間欠跛行の増悪になります。
薬物療法 消炎鎮痛剤(急性期)・弱オピオイド(慢性期)・血管拡張薬・末梢神経障害性疼痛治療薬など
ブロック療法 神経根ブロックは多椎間狭窄例での高位診断に有効です。
理学療法 体幹・下肢筋力増強訓練生活指導

馬尾型と、保存療法無効例の神経根型は手術療法になります。

手術療法

除圧術 画像所見と神経所見で除圧部位を決定します。
固定術 椎間不安定性が明らかな場合は固定術も追加します。

若年者の腰痛

代表的な疾患

腰椎分離症

病態

骨成熟が完成していない若年者の過度のスポーツ活動が原因です。回旋を伴うスポーツに伴う、関節突起間の疲労骨折です。

診断

疲労骨折を起こした時は強い腰痛になります。
中高年になると分離部骨棘による根性坐骨神経痛が出現することがあります。

検査

単純X線 斜位像で分離部を確認側面像で分離すべりを計測
MRI X線像では捉えられない疲労骨折がMRIで確認できます。

治療

保存療法

急性期 MRIで疲労骨折を確認次第、スポーツ活動禁止、コルセットにて骨癒合させます。
慢性期 薬物療法、理学療法など

すべり症による根性疼痛や腰痛が難治性である場合、膀胱直腸障害の場合は手術療法になります。

手術療法

固定術 インストゥルメンテーシヨンを併用した後方椎体間固定術を行います。
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